余命2ヶ月の少女は総長と恋に落ちる



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寝られない。

草木も眠る丑満時、布団から抜け出した。


以前から常備していた、残り少ない睡眠薬を手にキッチンへ向かった。

コップの水を注いで、手のいくつもの薬を乗せる。


「なんの、薬?」

っ、誰かに見られた…?


顔を誰かの方に向けると、

「蒼野」

やっぱり蒼野だった。


「それ、なんの薬なんだ?」

「なんでもいいでしょ」

「…ちょっとこいよ」


手を引っ張られて幹部室に連れてこられた。

まだ3人は起きていたようだ。


「透花、その薬何」

「だから、関係ないでしょ」

「…何か、病気か?」

あたり、なんて言えるわけもなく。
否定せざるを得ない。

「ただの睡眠薬だけど。」

「そんな、大量に飲むものか?」

「これくらい飲まないとやっていけない」


そこまで言うと、蒼野は何かを考えるように少し黙り込んでからこう言った。


「じゃ、俺と寝ようぜ」


…何言ってんのこの人。


「試しに俺と寝てみよ。
割と寝れるかもしんねぇし」

「は?」


「じゃあ決定な!今日は寝るわ新、絢兎」

「おやすみ〜」
「わかった」


何も言っていないのに、蒼野の部屋らしきところに連れて行かれた。

ベットに寝転ばされて、蒼野のベットも寝転んだ。

「意味不明」

「おやすみ透花」


わたしの言葉を遮るように、そう言った蒼野はわたしの唇にそっとキスを落とした。


「っ!」

そしてわたしをぎゅっと抱きしめた。

こんなの、逆に寝れるわけないじゃない。


寝れるはずないのに、寝れるはずないのに。

蒼野の体温がわたしを溶かすような感覚に陥って、眠気に勝てなくなった。