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寝られない。
草木も眠る丑満時、布団から抜け出した。
以前から常備していた、残り少ない睡眠薬を手にキッチンへ向かった。
コップの水を注いで、手のいくつもの薬を乗せる。
「なんの、薬?」
っ、誰かに見られた…?
顔を誰かの方に向けると、
「蒼野」
やっぱり蒼野だった。
「それ、なんの薬なんだ?」
「なんでもいいでしょ」
「…ちょっとこいよ」
手を引っ張られて幹部室に連れてこられた。
まだ3人は起きていたようだ。
「透花、その薬何」
「だから、関係ないでしょ」
「…何か、病気か?」
あたり、なんて言えるわけもなく。
否定せざるを得ない。
「ただの睡眠薬だけど。」
「そんな、大量に飲むものか?」
「これくらい飲まないとやっていけない」
そこまで言うと、蒼野は何かを考えるように少し黙り込んでからこう言った。
「じゃ、俺と寝ようぜ」
…何言ってんのこの人。
「試しに俺と寝てみよ。
割と寝れるかもしんねぇし」
「は?」
「じゃあ決定な!今日は寝るわ新、絢兎」
「おやすみ〜」
「わかった」
何も言っていないのに、蒼野の部屋らしきところに連れて行かれた。
ベットに寝転ばされて、蒼野のベットも寝転んだ。
「意味不明」
「おやすみ透花」
わたしの言葉を遮るように、そう言った蒼野はわたしの唇にそっとキスを落とした。
「っ!」
そしてわたしをぎゅっと抱きしめた。
こんなの、逆に寝れるわけないじゃない。
寝れるはずないのに、寝れるはずないのに。
蒼野の体温がわたしを溶かすような感覚に陥って、眠気に勝てなくなった。
