そこまで聞いたところで立ち上がった。

ドアをガチャンと開けて、少し先にいる3人のところへ歩いた。


「幽霊になれるなら本望だけど、
…残念ながらわたしは人間なの。

わたしは、多分普通じゃない。」


意味不明な心臓病で余命宣告を受けた。
両親は他界。
高校は行っていない。

…うん、普通じゃない。



「…なぁ、お前は何を抱えているんだ、?」

いいたくないのに蒼野が泣きそうに笑うから、思わず言ってしまいそうになった。


「透花、全部言ってよ…」


絢兎も、なぜか瞳を揺らして言うから。

だけど。


「別になにも」



「なんでそんなにお前の目は真っ暗なんだ…?
その容姿なら楽しく生きれるはずだ。
毎日ホテルに泊まれる金があるなら楽しく生きれるはずだ」


結局死ぬわたしが、楽しく生きてなんの意味があるの?


「なんで楽しさを捨てるんだ…っ?」


「…楽しく生きる意味がないから。
そして楽しく生きる方法がわからないから」


…そう、わからないんだよ。

わからないのにどうやって楽しく生きろって言うの。


「俺たちが、教えてやるよ。
…だから、楽しく生きようぜ…」

蒼野はそう言って手を差し出した。


また、踏み込んできた。

だけど、今はそれは嫌だとは感じなくて。



思わず、手を取った…。