小学生の夏 母と二人で 別荘に来た智之。
翌年 中学を受験する兄は 塾のサマーキャンプに行っていた。
退屈する智之は 近くのクリーニング店の店先で
一人 遊んでいた麻有子と 友達になる。
智之より 二才年下の麻有子。
利発で素直で 一生懸命 智之に付いて来る。
大きな目を クリクリさせて いつも笑っていた。
智之が 何かを教えると 目を輝かせて覚える。
林の中を歩いたり 別荘の庭で かくれんぼをしたり。
二人で過ごした夏は 心の 宝物だったことを思い出す。
「可愛い子だったよね。智之の初恋?」
気の置けない仲間は はっとすることを言う。
「初恋か。そうかもね。」
智之は 否定も肯定もできない。
自分でも わからなかったから。



