出産は 予想よりも 早く進んでいった。 9時頃 診察にきた看護師は、 「そろそろ 分娩室に移りましょう。」 と麻有子を導いた。 出産の立会いを 麻有子に拒否された智之は 分娩室の外で待つ。 閉ざされた 扉の向こうで 麻有子は どんな苦しみに 耐えているのか。 智之はただ 無事を祈ることしか できなかった。