その頃吏名は職員室で東先生を捜していた。
「失礼します。東先生いらっしゃいますか」
「ああ…東先生なら、多分物理準備室にいるよ」
「分かりました、ありがとうございます」
職員室を後にし、言われた通り物理準備室へ行くと、本当に東先生がいる。
「東先生」
「…珍しいな。誰かが来るなんて」
「部活、顔出さなくていいんですか」
「え?」
彼は、予測していなかった言葉に思わず聞き返した。
「ああ…。今日から、男子陸上部のマネージャーになることになりました。早乙女吏名です」
「募集して、本当に来たんだ…。よろしく」
どうしてこの部はこんなに、マネージャーができなかったのだろう?それとも、いても恵まれなかったとか?
吏名の頭の中には複数の思考が巡ったが、
「で、俺をわざわざ呼びに来たと?今日は短距離も長距離も、コーチいる日だから行くつもりないぞ。部員から聞いてないか?」
と言われ、彼に目を向けた。
「別に呼びに来たわけじゃありません。
…ただ、マネージャーとして、顧問のメールアドレスを聞きに来ただけです」
「メアド?」
「部費で薬とか買っていいかとか、先生が出張でいない時の伝言とか…そういうのを聞くのに、持ってた方が便利かと」
「なるほどな。気が利くな」
そう言い、パソコンのメアドを表示させた。
それを見ながら吏名が淡々と打つ。
「それじゃあ、失礼しました」
「おう。明日からよろしくな」
「はい」



