疾走したら、恋。



「1年3組、早乙女吏名です。中学時代は陸じょっ…」

「えっ…?」


さすがの吏名も、吏久に目を見開いて驚かれ、固まってしまう。


「え、待って?女子100メートルで11.25叩き出して、まだ誰にも抜かれてない子だよね?」

「あ…まあ…」


彼の圧に戸惑いながらも、吏名は肯定する。


「ここ、男子陸上のマネージャー選考だよ?女子陸上もあるんだからね?」

「私なら…私なら、冴島先輩をもっと速くできる」


普段より語調を強く、そう言った。


「ん…?」


吏久が首を傾げると、我に返ったように咳払いをした。


「…それはともかく。一応陸上部経験があるので、マッサージやテーピングの方法は心得てます。よろしくお願いします」


落ち着いてそう言うと、ペコリと頭を下げた。

その様子を、紅映は少し気に入らなそうに眺めていた。


「ありがとう。…じゃあ、2人決めていこうか」


それから多数決で、吏名と紅映の2人が決まった。


「多分、芹沢さんと韮崎さんは2人でやれればなーって思って来てたんだろうけど、大丈夫?」

「あ、大丈夫です」


香穂がそう答えて、紅映が


「香穂とできないのは少し残念ですけど、早乙女さんと仲良く先輩方をサポートしますっ!」


と続けた。

吏名はその様子を見て、わざとらし…と思った。