ゼミが終わった後もしばらくは心の臓がバクバクでした。

「ねぇ、翼〜、終わってるよ。」

何〜!終わる!?ぼ、僕と神崎様がですか〜!?

「もう、ゼミ終わったよ。早く行こうよ。」

え?あ、はぁ〜、すいません。僕はボーっとしてました。

「う、うん。友一も待ってるから行こうか。」

ジーっと愛ちゃんが見てる。

ヤバイですか?バレてますか??

「もしかして…」

言わないで下さい。お恥ずかしいかぎりです。

「つ〜ば〜さ〜、緊張してたんでしょ!?」

「だってぇ〜、軽く声裏返ってたもん!」

おぉ〜!バレてない…。しかし、噛むし声は裏返るし、相変わらずダサい。

「う、うん。人前が苦手で…」

「大丈夫!私がついてるから!ね?」

これじゃ逆だな。友一に愛ちゃんを頼むって言われてるのに。

「ありがと。行こうか」

掲示板の前に行くと、友一がソワソワしながら待っていた。

「お疲れ〜!どうだった?変な男はいなかったか!?」

友一は愛ちゃんにいきなり問い詰めた。

「大丈夫だって!翼が横にいてくれたし。」

「ほんとか!?翼、どうだった?変な男いなかったか?」

「う、うん。大丈夫だと思う。」

自己紹介の時、愛ちゃんをチラチラ見ていた男子の事は言わないでおこう。

すっかり安心した友一は元気を取り戻した。

「じゃあ、先に行くね!友ちゃん、また夜に連絡するね!翼、明日もよろしくね!あ!あと私のケータイの番号とアドレス、友ちゃんから聞いておいてね〜。」

あれ?確かこの後、ご飯に行くんじゃなかったっけ?

「おう!じゃあ、また夜に連絡くれよ!」

愛ちゃんは急ぎ足で走っていった。

「友一、愛ちゃんも一緒に行かないのか?」

「ん?あ、あぁ。愛、学校の近くでバイトするんだ。その面接だよ。」

「ふ〜ん、そっか」

「じゃ、翼!男二人っきりでメシいきますか!!」

「うん。行こうか」

この時、僕は友一と距離が縮まった気がしていた。しばらく会ってなかっけど、もしかしたら親友になるのかもな。