結局、あのあと 放課後になっても
立ち直れなくて
千晶と大地、浩ちゃん巻き込んで
カラオケに行った。

今日は勉強はしないことに決めた。

気分じゃないし、

明日休みだし。

「ただいま〜」

のれんをくぐると

「おかえり!」

常連さんたちのの大合唱。
商店街にある小さな食堂。
それがウチ。

ほとんど常連さんしかいない店内。
暖かいけど今は少し鬱陶しい。

「どうした、美葉菜ちゃん?顔暗いぞ〜」

「うん、ちょっとね。」

「色々あるんだよ!高校生にもなると」

本当に色々あった。
あの後、授業の合間とか昼休みとかに
私にお客さんが訪ねてきた。
それもたくさん。
そのほとんどが

「よくE組なのに告白したね。」とか、

「高望みしすぎー」とか 

そんなことを失恋したばかりの女子に
わざわざ言いにきたんかい!
とツッコミたいくらいの失礼な訪問だった。

回想している間に話しかけてきたおじさん2人はいつの間にか始まっていたカラオケに
参加していていなかった。

「大丈夫か」
父さんが厨房からとんかつ定食を持ってきて声を掛けてくる。

「うん、ありがとう。大丈夫かな」

無理やり笑顔を作る。

心配させるわけにはいかない。

思い切り「いただきまーす」
とキャベツをかき込んだ。