side美葉菜

「美葉菜、お疲れ〜」

教室に入ると千晶が笑いながら出迎えた。

「千晶、何がお疲れなの?」

疲れるようなことは何もしていない。

「だって、桜沢くんに告って 
振られたんでしょ。」

⁉️ 日直で早く来たはずの千晶が
告白騒動のことを知ってるわけがないのに、

「山下とかさやりんとかが話してたよー」

あの口軽たちめ〜💢 
心の中でクラスメイトたちに恨みを送る。

「やめときなって、あんな顔と頭だけがいい人なんて。何も言っていないけど、
心の中でうちらのことE組って
馬鹿にしているんだから。」

確かに、
うちのクラス いや、学年でも
五本の指に入るほど可愛い谷ちゃんだって
Eってだけで振られている。

ましてや、可愛くもない私からの告白…

実るわけないじゃん。

なんか、泣きたくなってきた。

溢れそうになる涙を隠すため、ポケットからイヤホンを取り出して、お気に入りのケースがついたスマホの電源を入れた。

流れ始めたのは、今流行りのアイドルの曲。

彼女たちの可愛い声がイヤホンを伝って耳から入ってくる。