side零

「私たちこっちの部屋だから
何かあったら来て。」

女子達が部屋に入ってしまうと廊下の男子(特に凛斗と神田くん)
たちに立ち込める重い空気を切るように

「ここが俺たちの部屋だろ」

二人の間をすっと横切り
凛斗の部屋を開ける。
俺にとってはいつも来ている
凛斗の部屋だが、

松本君は目を丸くする。
「綺麗で大きい部屋!大地?何してるの?」

神田君は固まっている。

「入れば。」「大地ー?」俺と松本君の声で我に返ったように部屋に入る神田くんだが、

凛斗との間の空気が若干怖い。

凛斗とのことを睨んでるし。
「何?」
凛斗がそっけなく聞くと

「福原のことどう思ってんの?」

瞬間凛斗の周りの空気が
冷えたのが分かった。

「そういうお前はどうなの?」
絶対零度の氷点下声で尋ねる凛斗。

少し怯んだ神田くんだが、

「俺は好きだ。」

「女子としてか?」

「決まってるだろ。女子として好きだ。
あんな可愛いくて映画やドラマに出て来る
主人公みたいな女子。
見たこともあったこともないし!」

頬を染めながらも
はっきり口にする神田くん。

「別に好きにすれば?
むしろ物好きだな。
良いご趣味をお持ちのようで。
うるさくてバカな女を
恋人に希望するなんて。」

口ではそう言ってるけど、
本人もそう思い込んでいるだろうけど、

凛斗の握った拳がぎゅっとなっている。
ついでに目も若干怖い。

トラブルが始まる予感。