「美葉菜ちゃんこのワンピース着てみて!」
美音ちゃんが本日何十着目の
服を押し込んでくる。

「んー。やっぱこれかこれだな〜。
零どっちがいい?」

「俺はこっちの水色と紫のワンピースが
いいかな。」

「よし、了解。せっかくだから
さっきのピンクのやつも両方買ってあげる」

とレジに行ってしまっている間に

「今日、美音やたらテンション高いけど
気にしないでね。」

坂中くんが話しかけてきた。

「あ、気づいてたけど
全然気にしてないです。」

「多分美音にとって初めてできた女子の友達だよ。美葉菜ちゃんは」

坂中くんの言うことが信じられなかった。

あれだけ美人で可愛くて性格もよかったら
いっぱい友達いそうだけどな。

「美音、小学校高学年の時から恋愛とか
コンプレックス関係で女子から恨まれてて、ウチって基本的に小学校から
エスカレーターで上がれるから。
ずっと俺と 凛斗と一緒で
自分で言うのもなんだけど
俺らってモテるらしいから
余計に反感買ってて今でもクラスの女子数人に無視されてるし、ハブられてる。
美葉菜ちゃんは美音にとっては
初めて家族以外に心を許せる同性なんだ。」

「私が?!」

「最初は凛斗に近づいた
軽い人と思っていたらしいけど、
今は美葉菜ちゃんがめっちゃ可愛い💕
大好き💕だってさ。」

坂中くんの言葉に私はとても嬉しかった。

だって私も美音ちゃんが大好きだから。

「美葉菜ちゃーん」

美音ちゃんが笑顔で駆けてきた。

「ありがとう、坂中くん。」

買い物もそうだけど、
そのことを教えてくれて。