side美葉菜

「もう蓮斗くんのおしゃべり💢」

こっそりと呟く。

私は大地のことを友達としか思えないのに…

まるで恋人になったみたいな感じじゃん…

ちょっとムカっとしたのもあって
「別に桜沢くんには関係ないでしょ。」
素っ気なく返す。

だって私のこと
絶対女子として見てないでしょ。

「…」私の言葉に無言の桜沢くん。
やばい…怒らせた。

「これでも関係ないか。」

桜沢くんの顔が私の顔に近づいて
唇にほんのりと甘い感触。

でも、ほんの一瞬で次の瞬間、

桜沢くんは、はっとしたように

「悪い」

と言いながら唇を離して行ってしまった。

キス…

私はしばらく熱くなった頬を
押さえながら床に座り込んでいた。

side凛斗

マジ最悪…

お風呂に入る前だから
もう1時間以上たっているのに、

思い出すだけで顔が熱くなる。

あの時、

「桜沢くんには関係ないじゃん。」

神田のことが出た瞬間に顔を反らした、
福原にイラッときて思わず唇を奪っていた。

一瞬だけどふわっと香った
シャンプーとリンスの香り、

火照った肌、

そして体からから香る女子特有の甘い香り、

めっちゃ甘い唇。

やばいかも…

同じ家に同い年ぐらいの女子。
しかも普通に可愛い。
がいることの意味が分かった。

明日、顔合わせたくないな。

たぶんすごい気まずい。

「どうしたんだろう俺…」
独り言を言ってみても気持ちが収まらない。

何だろうこの気持ち、この高揚感。

今日の俺やっぱり変。

布団を顔まで押し上げる。

寝れない。

もういいや。

開き直ってテレビをつけると
深夜ドラマなのかキスシーンだった。
慌てて消す。

今夜眠れそうにないかも…

久しぶりに動揺していることに
気づいて体が熱くなるのを感じた。