「実は…」事情を話すと、

「えー!」千晶と浩ちゃんが叫んだ。

早乙女さんも
大きな目を見開いて驚いている。

「なにそれ、めっちゃマンガじゃーん」

「それで福ちゃんのお母さんは?」

驚きながら心配してくれる浩ちゃん。

「まだ見つかってない」

「やばい、スクープじゃん。
   大地に教えていい?」

千晶は桜沢君と同居していることが
一番驚いたようだ。

千晶らしいっちゃ、千晶らしい。

「もう!人に広めるのダメ!」

「分かった。呼び出して直接教えよう」

と電話をしに店の外へ出て行った。

「で、どうなの?
    憧れの王子様との一緒の暮らしは?」

結局浩ちゃんも気になるらしい。

「うーん、家でもめっちゃ塩対応で
 嫌われてんのかな?」

ここで早乙女さんが冷たく

「そんなことない、凛斗は結構性格イケメンよ。ただ興味のない人か、嫌ってる人に冷たいだけ」

さらに追い込むようなことを教えてくれた。

「もう、美音はそんなこと言わないの」

泣きそうになった私を見て浩ちゃんが
早乙女さんを注意する。
そこへ「今から5分ぐらいで大地来るって」と千晶が帰ってきた。

すかさず早乙女さんが

「疲れた。帰る」

と席を立った。

私と千晶が“送って行かないの?“
と浩ちゃんに目で合図をするけど、
気づかない浩ちゃんは
「バイバーイ。また学校で」
のんきにに手を振っている。

“ハァー“ため息をついた千晶。
「男子ってこんな鈍感なんだ。」
いつも深夜にやってるバラエティ番組で、
出演してる人達がアイドルだし、
女心わかんないのかなー。
と思って見ていたけど
浩ちゃんがそうだった。

早乙女さんかわいそうになってきた。

私たち 2人のジトッとした視線に
「え、どうしたの?」
浩ちゃんが怯えていると、

''カランカラン"
ドアベルがけたたましく鳴って
息を切らした大地が現れた。