不幸というものは続き、
私は失恋した翌日に家を失った。

「ねぇ、これからどうするの?」

私、今とても不安なんだけど。

運転席の父さんをこっそり見る。

あのヤクザたちが来てから2時間。
私は必要な荷物をこまごまと持って車に乗っていた。

生きていることが分かった母さんは私たちを訪ねてくる可能性があるため、
私たちはあの家を○△組に貸した。

訪ねてくるところを捕まえるらしい。

父さんがやっている店は昼間、
一般人に扮して張り込む。
だから父さんは今まで通り仕事ができる。

でも、私というお年頃の女子高生がいるのにも関わらず、家の中に一日中張り込むということは環境と教育によくないらしく、
私と父さんは、父さんの親友の家に居候することにした。

「ここだ」
家から車で30分。到着したその親友の家の表札を見て固まってしまった。

だって、
     だって、


「桜沢」って書いてあった。

「桜沢」ってあの「桜沢」?

驚いている私に構わず父さんがチャイムを押した。