「飲み物、買っていい?」
「いいよ」
芹もいる?と聞きかけて、しばらく前に
『いらない』
『喉乾かないし』
と切なげに断られたことを思い出した。
小銭を入れて、気に入っているエナジードリンクのボタンを押す。
昔は眠気覚ましのためにしか飲まないような、いかにも滋養強壮!みたいな。そんな味がしたのに、最近は若い女性も狙ってか、適度に甘い普通のジュースのような種類も発売された。
「それカフェイン入ってるんでしょう?寝られなくなるよ」
寝られない夜なら、ここ1年で格段に増えた。
寝られなくても、やることなら沢山ある。
「別に。大丈夫だよ」
くすくすと噛み殺したような笑い。
芹は昔からこうやって笑うのが癖だった。
その笑い声が、ずっと好きだった。