電車で2時間強。
ショッピングモールもスーパーもまともにない田舎から、俺とあの子は学校に通っていた。
地元からその高校に入学したのは、2人だけだった。
電車の本数も少ないから、毎日駅で待ち合わせをして、行き帰り一緒だったはずなのに。
ある日を境に、それはぱったりとなくなった。
「終点ーーー。」
ここまで電車を乗る人なんてそうそういないだろうね、といつかの会話が色濃く蘇る。
電車を降りて、無人駅のホームに唯一置かれた1つのベンチ。
そこに、彼女は座っている。
スカートから剥き出しになった生足は、まだ少し、肌寒そうだ。
「芹」
声をかけると、芹は嬉しそうに、口元を綻ばせた。