気づまりな沈黙の中 2人でお肉を食べて。

曖昧な 笑顔を 交わし合って。

「いきなり 重いこと言って ごめんな。」

務の言葉に 私は 首を振る。


「俺も 俊樹みたいに 自由だったら よかったのに。」


そうだよ。悠香みたいに 少しずつ お互いを知って。

2人の気持ちが 高まって お互いを 信じ合ってから

今の言葉を 聞いたら 私は 嬉しいだけだったのに。


「私 自信がないの。」

「俺と結婚する? 」

「務、私のこと 何も知らないんだよ。知ったら 幻滅するよ?」


軽く 首を振って 言う私を 務は優しく見つめる。


「ただの恋人だったら お互いの嫌な所とか 気付いても 何も言わないだろう? 我慢できなければ 別れるだけだし。でも俺 レーナとは ずっと一緒にいたいから。そういうことを 何でも 話し合いたいんだ。レーナも 俺に言ってほしいし。そうやって 付き合いたいから。どっちかが 一方的に我慢して 結局 別れちゃうのとか イヤだから。」

私は もう一度 箸を置いて 務の言葉に 聞き入る。

「どうして 私なの? 」

「インスピレーション? 本能? 何か 感じたんだよ。」

務は 真剣な目で 少し恥ずかしそうに答えた。

私は 驚いた目で 務を見つめる。


多分 私が 務に捉われていた理由もそれ。

どんな言葉でも うまく言えなかったこと。


「もしかして レーナも?」

務の 驚いた顔に 私は 頷く。

急に 笑顔が弾ける務。


私は テーブルの上の 務の手を 握った。