結糸は上京に決まってる。
問題は、私はついて行くのかどうか。
もちろんついて行きたいけれど、お父さんやお母さんがそれを許してくれるだろうか。
真っ直ぐ伸びた田んぼ道を歩きながら考える。
「玲乃?」
ふと呼ばれて立ちどまると、10mほど先にいる結糸が心配そうに振り返っていた。
無意識のうちに歩くのが遅くなってたみたい。
「あ、ごめん、ちょっと考え事してて。」
「そっか。まあ、何かあったら相談しろよ?」
そう言って結糸はすごく優しく笑った。
物心ついた時から、ずっと見てきた大好きなその笑顔に、今日はなんだか胸が締め付けられた気がした。
