穏やかな風が木々を揺らしていく。ロネは木々の隙間から見える綺麗な青空に目を細めた。そして、祭り当日もこんないい天気ならいいなと願う。

「なあ、もう一回練習していいか?」

アテナが立ち上がり、ロネを見つめた。ロネは「へっ!?まだ練習するの?疲れてない?」とアテナの体力に驚く。ロネはもうあと一回が限界だ。

「あんたと少しでも多く踊りたくて……」

「……わかった」

考えるよりも前に、ロネは立ち上がっていた。アテナの手を取って、「一、二、三」とステップを数える。二人の距離がグッと近くなる。互いの鼓動が聞こえてしまいそうで、ロネはドキドキしながらステップを数え続けた。

木漏れ日がスポットライトのように二人を照らす。豪華なダンスフロアでも、華やかなドレスやタキシードがあるわけでもない。それでも、ロネはまるでダンスパーティーに来ているかのような感覚を覚えた。

アテナの乱れることのないステップに、ペアとなっているロネも魅了されている。

そんな不思議な午後だった。