「……おいしい」

そうアテナは言い、驚いたような顔を見せる。ロネたちは一斉に微笑んだ。その時、ナタリーが口を開く。

「そういえば、もうすぐお祭りの日だね。アテナもダンスの練習してる?」

「お祭り?ダンス?」

首を傾げるアテナを見てロネとネイサンは顔を真っ青にする。彼女は森の奥で暮らしているため、お祭りなどは知らない。

この国の建国記念日には盛大なお祭りが毎年開かれる。人々は朝から夜まで踊り続けるのだ。ロネも毎年お祭りを楽しんでいる。

「実は、アテナは体が弱くて参加できなかったんだ」

ロネはそう言い、ナタリーを誤魔化す。アテナもコクコクと頷く。ナタリーは「そうなんだ」と笑ってくれた。

「お祭り、すごく素敵だから参加した方がいいよ!ロネと踊りなよ。私はネイサンと踊るからさ〜」

ドレスを選ぶの楽しみ、とナタリーは目を輝かせる。アテナは首を傾げていたが、その目の奥に喜びが隠れていることにロネは気付く。

「お祭り、楽しみだね」

ロネは笑い、みんなも笑顔になる。お祭りはこの国の人にとって楽しみなものだ。お祭りのことでロネたちは盛り上がった。