多くの人が寝始める頃、少女は疑っていた。
突然、知らない男が部屋に入ってきて
「あなたの睡眠時間を代償に二億円を差し上げましょう」
と言うのだ。疑わないわけがない。
でも、少女は迷っていた。少女は勉強が大好きで、学年でもトップの成績なので、高校で学びたいという思いは誰よりも強かった。しかし、現在中学三年生の少女は、高校に進学するためのお金が無いのだ。
迷った挙句に少女は男に尋ねた。
「本当にお金を貰えるんですよね?私の寿命が減ったりとかしないんですよね?」
「ええ、お金はきちんとお渡ししますよ。それに、代償も睡眠時間であって、寿命は奪いませんよ。」
「あの、なぜ二億円なんですか?」
「大抵の人が一生で稼ぐお金が二億円だからです。」
少女はまだ、男のことを怪しいとは思っていた。しかし、男の言うことが本当なら、
その話を受けてみようと決めた。
「あなたの言うことは、本当なんですね?
その話、お受けしましょう。」
少女は疑念よりも高校に進学したいという気持ちの方が強かったのだ。