「はっ?えっ?」

日常のほんの些細なことまで見られている。それに気付かずに家で暮らしていたことに音羽は過去の自分を殴りたくなった。

「音羽の周りにいる人間ってさ、みんな何かいやらしい目でしか音羽のこと見てないし、もう俺ら限界だったわ。ライブチケット確実に取れるように根回しして、ファンサもいっぱいしてたけど音羽はいつも誰かと一緒で声をかけられなかったし……。まあ、今回また根回しして楽屋についに触れられたけど」

南斗がそう言いながらズボンのポケットから何かを取り出す。やっぱり偶然じゃなかったんだと思っていた音羽は、南斗が取り出したものを見て顔を真っ青にした。

「な、何するつもりですか!?」

南斗が持っていたのはスタンガンだった。南斗は怯える音羽にゆっくり近づいてくる。逃げようとした刹那、音羽は羽白に抱き竦められてしまった。

「大丈夫、怖い思いはさせない。ただ俺たち四人と一緒に暮らしてもらうだけ。外には出せないけどたっぷり愛してやるから」