EP.02



高校生活1日目。
入学式も無事に終わり、放課後。



「みなさーん、今からクラスで入学祝いにカラオケ行きませんかー!来る人は駅前のカラオケ集合で!」


クラスの男子の一人がそう呼びかけた。


「いいね〜!愛留夢も行こうよ♪」


菜々望も誘ってくれたのだが、、


『ごめん…私今からバイトなの』


「バイトしてるんだ!それなら仕方ないね。今度バイト休みの日遊ぼ♪」


『うん、もちろん♪』


私は引っ越してきてすぐにバイトを探し、家の近くのカフェでバイトをすることになった。

今日がその初日なのだ。


なぜこんな早くからバイトを始めたのかというと、



私のお母さんは、







私を産むと同時に亡くなってしまった。







私のお父さんは、






顔も名前すら知らない。






だから私は祖母に育てられた。



だけど私は自分が惨めだなんて思ったことはない。



お婆ちゃんや周りのいろんな人に大切に育ててもらったから。




本当に感謝してる。




そんなお婆ちゃんに私は無理なお願いをしてしまった。





ーお母さんと同じ高校に通いたいのー





お婆ちゃんはこんなわがままを受け入れてくれた。





「愛留夢、お母さんね、亡くなる前にこう言ったんだよ。」

(この子がしたい事は出来る限りさせてあげてほしい)

「ってね。お母さんの最後の願いを踏みにじることはできないからね。頑張りなさい。」






そのおかげで今、お母さんが通っていた学校に私も通うことができているのだ。



高校に通うあいだ、私はこっちで一人暮らし。
家賃代はお婆ちゃんが支払ってくれている。

その上、生活費まで毎月振込んでくれると言ってくれているのだが、それは嫌だ。


お婆ちゃんに迷惑をかけたくない。生活費ぐらいは自力でなんとかしたいと思いバイトを始めた。


初日、頑張ろう。