「 んん……ふわあぁぁ…… 」
目を覚ませば、朝になっていた。
雨宮くんは私をしっかりと
抱きしめてくれながら寝ていた。
「 んん…佐伯、起きたの? 」
「 もう朝になっちゃったね… 」
「 うん… 」
雨宮くんも、寂しいって思ってくれてるの?
私も、雨宮くんと離れたくないよ…
「 ねえ佐伯、今日も雨降ってるよ 」
「 …………えっ? 」
「 だから、今日も一緒にいよう 」
雨宮くんが初めてついた嘘。
ゆっくりと窓の方を向けば、
カーテンの隙間から太陽の日差しが
私たちを照らしていた。
嬉しかった。
晴れの日なのに、一緒にいれることが。
絵梨奈さんよりも私を選んでくれたことが。
私も雨宮くんを抱きしめ返す。
「 私、今すごい幸せ 」
あのときの嘘は、気まぐれかもしれない。
この先、晴れの日に雨宮くんと
会うことなどないのかもしれない。
それでも、雨宮くんが私と一緒に
いたいって思ってくれたことは事実。
野村くんだったら、
私だけに愛をくれるんだと思う。
きっと、不安を感じることも少ない。
それでも、私はやっぱり雨宮くんが好き。
私だけに愛をくれない人。
私は雨宮くんにとって都合のいい人。
偽りの愛しかないけど、、
それが私の幸せ。
今日は1日寝ていましょう。
夢の中でも2人で、一緒にいましょう。
きっと、もっと欲してしまう。
きっと、どんどん我儘になってしまう。
そんなことを恐れてしまうけど、
未来のことを考えても仕方ない。
今が幸せならそれでいい。
「 ああなったらどうしよう 」
「 こうなったらどうしよう 」
って考えるよりも、
「 ああしとけばよかった 」
「 こうしとけばよかった 」
って思う方が、私は嫌だから。


