目を開けると、そこは広い病院の個室


腕には点滴の針が刺さっている


反対を向くと握られた手




その手に少し、力を入れると

うつむいていた朔夜が ガバッと顔を上げた




「美月… 美月!!

おい、痛いとこないか?気持ち悪くないか?!」




「ふふっ」


珍しく焦っている朔夜がかわいくて思わず笑う




「… なに笑ってんだよ…」


力が抜けたように言う朔夜は、ほっとしたような暖かい表情をしていた




「大丈夫。

助けてくれて、ありがとね」




あれは、夢じゃなくて現実だった


死にかけの私を、いつも朔夜は救ってくれる




「美月…

なんで泣いてんだよ…」



「………?」




苦しそうな顔をした朔夜が私の目尻を優しく撫でた


それではじめて、自分が泣いていることに気がつく




「……きっと、嬉し涙だよ。

さっき、夢をみたの

私の本当のお父さんとお母さんに会った」




そう言うと、朔夜の目が少し見開いた


やっぱり私達は、お互い知らないことだらけだ。




「お父さんとお母さんに、謝った。

そして私もそっちの世界に行きたいって言ったの。

でも、生きて欲しい、幸せになって欲しいって
それがお父さんとお母さんの最後のお願いだって。

私は朔夜に全部話すよ、
辛かった過去も 自分の犯したあやまちも

ぜんぶ朔夜に教えるから、だから……」




言いながら涙が溢れる私を朔夜が抱きしめた




「分かった、分かったから…

怖かったんだ、美月が離れていきそうで

俺も、全部 美月に話す。だからもう泣くな…」





そんなことを言われたけれど、私はしばらく泣き続け、

顔を上げた時には朔夜のシャツがびしょびしょだった