「朔夜、

私になにか隠してることあるでしょ…?」






答えが知りたくて、その表情が気になって
朔夜を見つめる




朔夜は明らかに動揺していた




不機嫌だった顔が、苦しそうな 切なそうな顔に変わる




「… 答えてよ…」




しばらくの重たい沈黙のあと




「… お前… どこまで知ってんだ…?」




求めていた解答ではない、質問が返ってくる



そんな事が聞きたいんじゃない、


私が質問してるんだ




「私の質問に答えてよ!!」




いきなり発せられた私の大きな声に、朔夜の苦しそうな顔がさらに歪む




「わりぃ…」




弱々しい声の朔夜を見て、胸が締め付けられるように痛くなった




こんなはずじゃなかったのに


ただ、朔夜の口から真実を話して欲しかっただけなのに


隠し事をしているのは自分のも同じことなのに、自分を棚に上げて朔夜を問い詰めてしまった






「帰る」



それだけ言って部屋を飛び出し、エレベーターに飛び乗った




朔夜は追いかけて来ない


朔夜は私がなにか隠してることに気づいているはずなのに、今まで問い詰めてきたことはなかった


それが朔夜の優しさ


人には触れられたくない、知られたくないことが誰にだってある


それは私が1番わかっていたはずなのに、、




きっと嫌われた


きっと、めんどくさい女だと思われた








下のバーにはまだ蒼介さんがいて、心配してすぐに悠を呼んでくれた



駆けつけた悠のバイクの後ろに乗せてもらい、泣きながら帰った




「いつか、朔夜も話す勇気が出ると思う

それまで、待ってやってくんないかな」




家に入る前にかけられた悠の優しい声


その言葉に 「おやすみ」 とだけ返して家に入る



その日は、全く眠れなかった