「ねぇ、朔夜
ねぇー朔夜って、聞いてる?」
「んだよ」
はぁ?!?!
んだよ?それが最近できたばっかの彼女に対する態度かよ!!
なんて睨んでみるけど私の睨みなんか関東最強の男に通じる訳もなく、私の睨みを数百倍くらいにして返された…
もういいし。せっかくうさぎの癒し動画見つけたからいつも刻まれてるその深い深い眉間のシワをちょっとでも浅くしてあげようと思ったのに
今日の幹部室は朔夜と二人きり
こういう時ってだいたい世間のカップル達はイチャイチャとかするんじゃないの?って思うけど、
隣の男、私の彼氏はそんなの興味ないらしくさっきからバイクの雑誌に釘付けで私の方を見ようともしない
つまんない、
悠とおしゃべりしたいし陽人とゲームしたい、、
あ、そうだ、倉庫の中探検してこよ
ぱっと思いついた"探検"という暇つぶしをするためにソファーを立ち上がると
「うわぁっ!!」
ガシッと手首を掴まれて、そのままソファーにしりもちをついた私
「ちょっと!! なに急に!」
「お前がどっか行こうとするからだろ」
はぁ?!意味わかんない!
彼女放ったらかしで「んだよ」とか言って睨んできたのそっちじゃん!!
「だって朔夜ぜんっぜん構ってくんないじゃん
もういいし、私 探検してくるから」
「は?探検?どこをだよ」
「倉庫の中! まだ下の奥の方行ったことないもん」
ちょっとキレ気味で言った私に「あぁ、そうだな」とだけ言った朔夜が立ち上がる
そして何故か私の手を握って引っ張られ、扉に向かって歩き出した
「え?一緒に探検してくれるの?」
「探検じゃねーよ、
ただのうさぎの散歩だ」
色々とツッコミどころ満載な朔夜
私が見てた動画、絶対盗み見てたでしょ
まずうさぎって散歩するのかな
そして私はうさぎってこと?
私って朔夜のペットなの?
いろんな疑問が浮かぶ中、下に降りて探検なのか散歩なのかをはじめた私達
奥の方の家庭科室くらいの調理スペースや、バイクの工具が並んだ部屋、
"Black Shadow" と金色で大きく書かれた黒い旗を見せてもらい、
その一つ一つを下っ端の子達がこと細かく説明してくれて、探検ではなくガイドツアーみたいになっていた

