いつもの真っ黒な部屋、腰にまきつく朔夜の腕



あぁ、落ち着く…



目が覚めた私は、朔夜の存在を背中に感じながら ほかの男────陽人のことを考えていた




あの時、私に向かって叫んだ陽人の言葉はきっと本物だった

ずっと秘めていた思いをさらけ出したんだと思う



でも、やっぱり助けてくれた

三人は、Black Shadow は私のヒーロー



あの言葉がニセモノなら、陽人は俳優デビューした方がいいと思うし

あの見開かれた目が演技なら、朔夜はエキストラも夢じゃない

悠ほど返り血が似合わない人もいないだろう…



あの殴り合い、凄かったなー…



「ふふっ」


一人で笑っていると、



「…美月? もう大丈夫なのか…?」



ピッタリくっついて寝ていた朔夜を起こしてしまったらしい



「大丈夫だよ

ごめんね、起こしちゃった?」



微笑んで答えた私に、朔夜はふるふると首を横に振って 正面からギュッと抱きしめてくれる



「守ってやれなくて、ごめん

怖かったよな、辛かったよな…

俺、お前のこと守るなんて言っといて何にもできてねぇ

あの時、手を縛られて泣いてる美月を見て、自分が許せなくなった

俺はもっと強くなる、もう絶対に 美月を泣かせたりしない」



その言葉だけで充分だよ、



安心する、満たされる、幸せ



いつだってどこにいたって、朔夜は私を見つけてくれる 助けてくれる



この香りも、大きな胸板も ドクンドクンと波打つ心音も、

ぜんぶ、私だけのもの