ありったけの愛を叫んで

その前をさえぎるように現れたのは、一人の蝙蝠




フードを外した時に見えた短髪の赤髪、
耳元のジャラジャラしたピアスに目を疑う





「あ、き…と……?」





「フッ バレた? そうだよ美月、

これが俺の 本当の姿」



そう言ってマスクを取った陽人の赤い目は私を見下すように見ていた



「お前、惨めな格好だな」



嘲笑うように言って、はだけた私のブラウスを手に取り、ボタンを前で一つだけとめた陽人



「助けに… 来てくれたんでしょ……?」



「この姿見ても俺のこと仲間だと思ってんのか?

笑わせんなよ」



無表情な陽人が涙でかすんで見える



「なんで、どうして?

いつも一緒に過ごしてきたじゃん、

たくさん笑いあったじゃん!

いっつも私を助けに来てくれたじゃん!」




頭に浮かんでくるのは
陽人の笑顔、疲れた顔、心配そうな顔、食べ物を頬張る嬉しそうな顔…