目下私の頭を悩ませているのは、目黒くんのことだ。


 だけど彼のことは、さすがに親友といえど果心に軽々しく言えることではない。


 だから私はごまかすことにした。


 突然巻き込まれたイベントに疲れ切り、晩ごはんを食べるのも忘れて寝てしまっていた、という私の稚拙なストーリーを果心は半分疑いながらも受け入れてくれたようだ。


 心配してくれている果心には申し訳なく思うけど、背に腹は変えられない。


 と、そこに、


「ど……いうことですか……!」


 かすかに焦る女の人の声が聞こえた。


「ん? 今の皆藤さんの声だよね?」


「何かあったみたいじゃなかった?」


「うん、見に行こう」