九条くんの左腕になるべく優しく触れる。


「これ……私のことをかばって怪我したんだよね」


 そのまま手の甲へ指先を伸ばした。


「これも、私のために怒ってくれたときにできた傷だよね」


 思えば、私は九条くんに助けられすぎた。


 昨日の投票のときも、九条くんは荻野さんに5000ポイントを入れるという選択肢もあったはずだ。


 どうして荻野さんではなく私に入れたのか。その真意は私にはわからない。


 ただ、「私が九条くんに助けられて生きている」その事実に変わりはない。


「今度は私が九条くんを助けたい。お願い、私と両想いになって一緒にこの館を出てください」