一瞬、荻野さんは何が起こっているのか理解できないというようにきょとんとして、次の瞬間痛みに体を震わせた。


「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い――! 楓、助けて」


 だけど九条くんは、黙って俯くだけだ。


「いやだ、死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない! 二階堂くん!」


 荻野さんはそう絶叫すると、まるで二階堂さんがそこにいるかのように手を伸ばす。


「本当に好きだった。二階堂くん、大好き」



 6日目24時45分、壮絶な愛に生きた2人の女性の生涯が、幕を閉じたのだった。




 6日目「騙される人」END。