そして、皆藤さんの顔から血の色までも失われていったころ、


「それでは第2次処刑を始めます」


 機関銃が矛先を向けるその先にいるのは、荻野さん。


「……いや、いや!」


 荻野さんはまだ現実を受け入れられないというように、大きくかぶりを振り続ける。


 その気持ちは痛いほどわかった。なぜなら、あの場所に立っていたのはもしかしたら私かもしれなかったから。


「――楓、」


 荻野さんの伸ばした指先に触れられた九条くんが、びくりと体を硬直させた。


「楓、助けて、楓。私、死にたくない」


 九条くんが歯を強く食いしばっているのが、ここからでも見て取れた。


「ゆかり先輩、俺、俺、――ごめん」


 九条くんの大きな手のひらが、迷いながら、けれど力強く荻野さんの体を遠ざける。


「処刑実行」


 ダダダダダダダダダ……!!!