目黒くんを失った痛手は、思っていたより大きかったみたいだ。


 突然狂った館に集められギクシャクする私たちの関係を、潤滑油のように滑らかにしてくれていた目黒くん。


 彼がいなくなったことでまず現れた変化。それは毎日のごはんだった。


「3人で食べるとやっぱり寂しいね」


 曖昧に笑う相川さんに、私も微妙にうなずいて返す。


 食卓には私と相川さん、それに果心の3人だけ。


 昨夜大きく傷ついただろう皆藤さんはともかく、荻野さん、九条くんも今日の朝ごはんは欠席だ。


「声は今日第2回投票があるって言ってたんだろ? 協力しないといけない盤面なのにね」


 悔しそうにする相川さんを元気づけたい。


 そう思いながらも、私の意識は朝ごはんとは別のところへ飛んでいく。


 朝ごはんを食べ終わった私が訪れたのは、「九条」と書かれたネームプレートの前だ。