「史花さん、いらっしゃい。」
最近は平日斎藤くんの家で過ごすことが
多くなった。
「お邪魔します。」
「はい、おいで。」
と、玄関前で抱きしめようとする。
「…恥ずかしい、よ。」
「史花さん鈍いから、いっぱい伝えておかないと
伝わらないでしょー。」
と、有無を言わさず抱きしめられた。
「鈍いかな?」
「うん。すっごく。」
わたしはこんなに甘やかされていいのかな。
この人がいなくなったら、
わたしは生きていけないんじゃないか
と思うくらい斎藤くんでいっぱいだ。
「斎藤くん?」
「ん?」
「本当にすっごく好きなんだけど、
わたしの気持ちはちゃんと伝わってる?」
わたしはもらってばっかりで
返せているのかな、と思って言葉にした。
「あーもー本当。この人は。
むちゃくちゃ可愛い。」
「好きだよ。」
「大丈夫です。
俺の方が絶対めちゃくちゃ好きなんで。」
何だこりゃ、めちゃくちゃバカップルみたい。
と恥ずかしくなる。
今までこんなに甘やかされたことがなかった。
本当に幸せすぎて胸が熱くなる。

