上司を甘やかす方法






「来ちゃいました!」
と、最近我が家に来ることも多くなった。

熱を出した日、空っぽの冷蔵庫を見て、
心配してくれているようだ。

「手のかかる上司で、ごめんね?
無理しなくていいよ?」

と、やんわり断ろうとしたけれど、

「一緒に食べた方が美味しくないですか?
少なくとも俺はそうですよ?」
とまたわたしを乱す。

いつもギリギリの食材を使い切ってくれて
また新しい食材が入っている。

わたしも彼氏が居た時は料理もしていたけど、
最後に付き合っていた彼氏に振られてから
自分のために作る気力がなくなった。

キッチンに立つ斎藤くんがメインで作る。
わたしはお手伝い程度。


「はい、どうぞ。今日はロールキャベツね。」

「わー!美味しそう!!」

「はい!史花さんは机拭いて、お箸とお皿!」

「あ、はいはい!」
もう今や立場逆転だ。


わたしにとってすごく温かい時間。
だけど一方で苦しくもある。



時々頭に浮かぶ、斎藤くんの好きな人。


こんなに尽くしてくれる人に愛されて、
幸せだろうなーと来るはずのない未来を
憧れたことなんてもう数え切れないくらいある。


「おーい、史花さん?冷めますよ?」

「あ、ごめん。いただきます!」


「どうぞ。」
この時の優しい笑顔が一番好きだ。