まさかの質問に、一瞬間を空けてしまう。
あれ?斎藤くん、知らなかった…?
「斎藤くん、知らなかったんだね。
知ってると思ってた。
えっとー…佐々木部長は
わたしのお兄ちゃん、かな?」
「…え?」
キョトン顔の斎藤くん。
「あー、厳密にはまだだけど、」
「どういうことですか?」
「お姉ちゃんの旦那さんになるの。」
「…へえ、、。」
微妙な顔の斎藤くん。
今日は表情が忙しい。
「…?」
「そっか、それはよかったです。」
とにっこり。
なんだこれ。
めちゃくちゃドキドキする。
本当、彼もわたしのこと、好きなのかと
期待してしまいそうになる。
「よかった?」
「よかったですよ?
部長と揉めずに済みました。」
???
「分からないなら分からなくていいです。」
と、余裕そうな斎藤くん。
「快気祝いしましょうか。
大河内さん家でいいですか?」
「え!うち?」
「だって俺が買った食材の残りも使ってないし、
料理しないでしょ?
このままだと傷んじゃいます。」
全部バレてる。
「だからあの食材でお鍋しましょう。」
と、誘われた。
家に来ると一瞬意識はしたけれど、
彼にとってわたしはただの上司。
「分かった。」
そう言って仕事に戻った。

