夜は結局何も食べられなくて、
買ってもらった飲み物だけ手をつけた。
寝て起きると、38.1℃まで下がっていて
近所の病院に行くことにした。
受診の結果、インフルエンザとかでもなく、
風邪とのことで薬を貰って帰った。
昨日買ってくれたゼリーとゆで卵を食べて
薬を飲んで眠ると、
昼過ぎには36.9℃まで下がっていた。
ほっと安心して、また布団に入った。
♪〜♪〜♪〜
着信の音で目が覚めると、
部屋の中は真っ暗。
時刻は18時になっていた。
「もしもし。」
「斎藤です。」
「お疲れ様です。お休みごめんね?」
「いや、それはいいんですよ。
大河内さん、大丈夫ですか?」
「あー、うん。ごめんね。」
ピンポーン
「“ピンポーン”」
家のインターホンと電話口から同じ音がした。
「心配なんで見に来ちゃいました。」
「え?」
「大河内さん、きっと何も食べてないでしょ?」
朝から病院のあとのゼリーとゆで卵だけだ。
「…まあ、、うん。」
「何か作りますよ。とにかく開けて下さい。」
「いやでも、わたしすっぴんだし、
何もおもてなし出来ないし。」
「すっぴんなんて気にしないし、
おもてなしなんかされに来てません。
俺が来たくて来たんです。」
「…でも、」
彼を上げてもいいのだろうか。
それに、移したらどうしよう。
「俺は逞しいから移りませんし、
大河内さんの為に食材も買ってきたんです。」
エスパー並みの発言に驚きながらも
わざわざここまで来てくれた
この厚意を無下には出来ない。
本当に頼りない上司だ、、と思った。
「…ありがとう、どうぞ。」
彼を家に招き入れた。
「ごめんね、仕事疲れてる時に。」
「はいはい、大河内さんは座ってて下さい。」
とソファに座らされた。
「熱は?どうですか?」
「朝ね、病院行って薬もらったの。
で、寝てたら下がった。」
「おー、よかったです。」
「斎藤くん、ご飯作れるの?」
「まあ、一人暮らしなんで、
ある程度は作れますよ。」

