「このゆで卵は?」
「大河内さん、卵好きだって言ってたから
卵だったら食べれるかなって。」
飲みに行った時のことを思い出した。
たしかに言ってた。
「ありがとう、メイク落としは?」
「わざわざ洗顔までする元気、
ないかと思いまして。」
「すっごい、気が利きすぎて怖い。」
と、ちょっと笑った、ら
「あ、よかった。
ちょっと元気出ました?」
と斎藤くんも笑ってくれた。
「あ、ごめん、熱だよね。すぐ測るね。
いつ買いに行ってくれたの?」
「さっき、大河内さん、
全然起きなかったから。」
「それは、失礼しました。」
「いえ、寝顔、拝ませてもらいましたよ。」
「拝めるような寝顔じゃなくてごめんね。
あ、39.2°だった。」
「え!めちゃくちゃ高いじゃないですか!
とりあえず寝て下さい。」
「ありがとう。本当に。
じゃあお見送りさせて。」
「いいから!本当に!早く寝てください。」
結局、寝室の前で
帰って行く斎藤くんを見送った。

