5分程待ってると
「大河内さん、乗って下さい。」
と車から声をかけられた。
「車?斎藤くんの?」
「そうですよ、普段は自転車だけど。
今取りに帰ってました。」
「お家近いんだねー、
ありがとうー。助かる。」
あ、急にしんどくなってきた。
「あ、寝てて下さい。
先ナビだけ入れて頂けたら。
言ってくれたら俺入れますし。」
「至れり尽くせり。」
わたしはこの言葉を最後に寝てしまった。
20分ほどで我が家に到着。
「おーい。」と何度目かの声で目を覚ました。
「あ、ごめん。寝ちゃってた。」
「いやいや、すみません。部屋まで送ります。」
「大丈夫だよ。」
と、車から降りようとすると、
グラっと視界が揺れた。
「強がりですねえ。」
そう言ってマンション前のパーキングに
車を停め、わたしの荷物を持って、
部屋まで送ってくれた。
抱っこもおんぶも断固拒否をしたので
支えられる形で運んでくれた。
「はい、到着。」
荷物を下ろして、
「寝室どこですか?」と声をかけられた。
「そこまではいいよ。」
「じゃあ自分で着替えてきて下さい。」
「本当申し訳ないし、ここで大丈夫だよ。
ありがとう、本当ごめんね。」
「とりあえず着替えて。
そのあと、熱測って下さい。
俺もここまで来たら知る権利はあります。」
ごもっとも、と思って
まずは着替えることにした。
「ごめんね、すぐ熱測る。」
「はい。」
体温計を取ろうとしたら、
コンビニの袋を渡された。
?と袋を覗くと、
スポーツドリンクと熱冷ましのシート、
ゼリーやおかゆのパウチ、ゆで卵に
メイク落としシートまである。
「ありがとう。」

