上司を甘やかす方法



その後のランチは
少しだけ斎藤くんの話をすると

「えー!斎藤くんそんな感じなんですね。」
と驚かれた。

「何か仕事中は結構サラッと
こなしていっちゃう感じなのに、
そんなに色んな表情が出るなんて
楽しいんですね、お二人の時間。」


「わたしはね、そうだねー。」

「きっと、斎藤くんもですよ!」

斎藤くんはきっと、
ちょうど良い相手がわたしだっただけ。
上司だし、完全に対象外だろうし、
こいつなら勘違いしないかって思ってるはず。

あー、そっか。
だから倉持さんじゃなくて、わたしなんだ。

倉持さんなら、勘違いさせてしまったら
可哀想だから。

そうか、急に納得できた。
それと同時に、少し泣きそうになった。

「朱莉ちゃんは?どう?
もう引っ越しの準備とかしてるの?」

「全然できてなくてー、」
と、朱莉ちゃんの結婚話に切り替えた。


朱莉ちゃんとのこんな時間が
すごく久しぶりで、すごく嬉しい。

「朱莉ちゃん、本当おめでとう。」

「ありがとうございます!
結婚しても仕事頑張ります!
わたしはずっとチーム大河内です!」

「ありがとう、
朱莉ちゃんは可愛いね。」


これはわたしの心の底からの声だった。