上司を甘やかす方法




「フミさん、ランチ行きましょう!」
珍しくお弁当組の朱莉ちゃんから
声を掛けられた。

「あれ?今日お弁当は?」

「作ってないんです!
フミさんと行きたいお店あって!」

「そーなの!嬉しい!じゃあいこいこー!」
と久しぶりの社外ランチに気分が高まった。


穴場のデリキッチン。
たまに行くところ。

席に着き、日替わりランチを頼むと早速、

「どうしたの?
朱莉ちゃん、なんか話あるんでしょ?」
と切り出した。

「わたしじゃないですよ!
フミさんです!」

「え?」

「もー、隠しても駄目ですよ!

斎藤くんとなんかあるんでしょ?」

“斎藤くん”と言うワードだけでも
胸がドクッと鳴った。

「…何もないよ、
飲みに行ってるだけ。」

「えー?それだけですかー?」

「そうだよ。ただそれだけ。
でも隠してたわけじゃないの。ごめんね。

誰かに言ったら、わたしの気持ちが
止まらなくなりそうだったから。」

「もー、フミさん!!
そんなこと言ってる時点で
好きってことですよ!!」

好き、か。
今まで認めなかったけれど、
朱莉ちゃんと言う第三者から
好きという言葉を聞いて

すっと、胸に落ちてきた。

そうだ、わたしは斎藤くんが好きなんだ。