「最近、斎藤と仲良いなー。」
と、ニヤニヤしたおじさんが声を掛けてきた。
「え?何で?」
やばい、と思いながらも冷静に返す。
「飲みに行ってんだろ?」
見かけたぞー、と更にニヤニヤ。
「てっちゃんきもい。」
てっちゃんとは佐々木部長。
下の名前が、哲平なのだ。
会社では部長と呼んでいるけれど、
ついつい普段の呼び方になってしまった。
「動揺してるじゃーん。」
「うるさいな。ほんと。」
「俺はいいと思うけどなー。」
と、ニヤニヤ攻撃。
「本当にそんなんじゃないから。」
向こうにそんな気がないのだ。
確かにうちのチームで、
唯一の男性、棚田くんも結婚しているし、
そんなによくは飲みに行けない。
朱莉ちゃんは女性だし、
もうすぐ結婚を控えているから行きにくい。
倉持さんは行ってるのか分かんないけど、
どうなんだろ?
まあでもわたしが一番アンパイってことだろう。
そんなこんなで、
斎藤くんとは週に1.2回飲みに行くようになった。
わたし自身、斎藤くんの物腰の優しさや
時々悪戯っ子みたいなところが見えたり、
居心地の良さ、話の内容が楽しくて
今の大切な時間になっていることは間違いない。
認めたくないけれど、、、。

