ネイサンはそう言い、ロネにメルガの写真を見せる。ルビーやガーネットのような目、美しい容姿はアテナと同じだ。

「あの女性は、メルガの娘じゃないのか?」

やはりネイサンは気付いていたんだ、とロネはうつむく。嘘をつくのは得意ではない。泳いだ目を見られたくないが、もうネイサンには全て見えているのだろう。

「お前、何を考えているんだ!メルガの娘と仲良くしているなんて、世界中の魔族や人間から白い目で見られることになるぞ」

ネイサンの言葉がロネに突き刺さる。確かに、アテナの中にメルガの血は確かに流れている。それでも、ネイサンの言葉は間違っていると思った。

「アテナは、ずっと苦しんでいる。メルガ・キースの娘だから森でひっそりと暮らすしかなくて……。でも、アテナは何も悪いことはしてないよ!」

アテナの涙を見たロネには、一番彼女の気持ちがわかっている。ネイサンに言われたくない。

「でも……」

ネイサンが何かを言おうとする。ロネは気が付けば魔法を放っていた。