消毒が傷にピリピリと染みる。しかし、ロネは幸せな気持ちでいっぱいだった。アテナに触れられていることが気持ちいい。指の柔らかな感触がくすぐったかった。

「これでよし」

「ありがとう、アテナ」

ロネの腕には綺麗に包帯が巻かれている。ロネはニコリと微笑んだ。アテナは目をそらす。

「そいつが目を覚ますまでここにいろ。お茶でも淹れる」

アテナはそう言い小さなキッチンに立った。ロネはその後ろ姿をジッと見つめ、また微笑んだ。



アテナの淹れてくれたハーブティーを飲みながら、ロネはネイサンが目を覚ますのを待った。

「このお茶、とてもおいしい」

ロネがそう言うと、「ならよかった」とアテナは微笑む。しばらくアテナと話していると「うう……」といううめき声が聞こえてきた。

「ネイサン!!」

ロネは意識を取り戻したネイサンに話しかける。ネイサンは辺りを見回し、「ここはどこだ?お前の家じゃないよな」と言う。アテナがネイサンの前に立った。