「かけ、る…?」
なんで、そんなことするの…?
あの夜、翔が私の好き、に、ごめん、って言ったんだよ…?
『、わり』
「っ、ずるいよ、」
気づいたらそう言い残して、教室を飛び出していた。
感情の読めない翔と、唇に触れた柔らかい感覚が鮮明に思い出されて体温が上がる。
行き着いたのは、初めて翔と二人で話した場所だった。
旧教室棟の裏のベンチで、まだあまり話したこと無かったけど顔見知りで、私が二日酔いがひどすぎて授業抜けて外の風に当たってたんだっけ。
あの時と同じようにベンチで膝を抱えて、何故か流れてくる涙を拭う。
なんで、こんなに好きになっちゃったんだろ、
好きで好きで好きで、隣にいたくて、なかなか素直になれなくて、酔った勢いで伝えた思いは通じなくて、でも友達では居させてくれた。
それなのに翔は私にキスをした。
なにそれずるい。どういうこと?
『…いた』
顔は上げなかった。声だけでわかる。
「、何で来るの」
翔だ。


