「…はは、そんな真面目に答えないでよ」
乾いた彩の笑いと、無理した声が痛い。
『…どんだけ飲んだんだよ、早く帰んぞ』
少しだけ笑って、また俺が彩の前を歩いた。鼻をすする声を聞こえないふりをして。俺もそこまで鈍くない。本気だってことも、強がってることも。
だから今日のことはなかったことにしよう。
彩だって覚えてないかもしれないし。
…俺は、誰か1人に執着してしまうのが、怖かった。
(友達でいる方がずっとよかった)そう言った女の言葉が未だに耳に残っていて木霊する。好きになってしまったら最後、俺は重すぎるらしい。過去に何度も同じ理由で破局した。だから決めた、彼女は作らない。好きになっても、1番親しい友達でいる方がお互いに幸せだと思った。誰と話していても、彼氏じゃないから何も言えないし、誰とLINEしてても、俺に文句を言う資格はない。そのポジションが、1番いいんだ、


