「行ってきまーす」


弟の琉生《るい》が元気な声で、慣れない制服を着て玄関を飛び出した。


琉生は、今日から中学生。 


私も中学生最初の登校日は、張り切っていたような記憶がある。


そして今日は、私の高校生最初の登校日。


中学生の時のように、わくわくやどきどきが全くというほどないのは、やはり不安が多いからだと思う。


大丈夫。あの時とは、違うんだから。


もう、あの人たちはいない。苦しめられることはないのだから。