遠く、近く、君を。

それなのに。どうして麗夜さんはわかっちゃうの?
「愛、今日会ったばかりの俺に心を許すのは無理だと思う。」
たくさんの人を惹き付けるその優しい声でわたしに語りかける麗夜さん。
「俺は愛がどうして東京に出てきたのかなんて知らないし、なんで死のうとしてたのかなんて聞かない。そんなことして愛をさらに傷つけるのは違うから。」
心に響く、その綺麗な声が。
「だけど、今日愛と出会った時点で俺たちはもう他人なんかじゃないんだ。だからさ、1人で泣いたりしないで、俺のそばで泣いてほしい。」
わたしの絡まった糸をほどくように。