遠く、近く、君を。

「とりあえずお風呂入ってきな。服は俺のだけど貸すから。」
ほんとに申し訳ないな。
「ありがとうございます。」
お言葉に甘えて温かい湯船浸かる。
ポチャンー。
水滴の滴る音に吸い込まれるように今日一日の出来事が蘇ってくる。
これから3ヶ月、死ぬ気で仕事を探さなきゃいけないんだよね。
家出して、とりあえずあの場所から離れることが出来たけど、結局私がやっていることは"逃げ"なんだ。
過去と、罪と、そして唯一の家族から逃げた。自分を責めるものから目を背けたんだ。そう思うとなんだか心が苦しくなって、思いっきりお湯を顔にかけた。1人になるとろくなことを考えない。わたしは早々に浴室をあとにした。